メンターが気付きを引き出し、その気づきがプランを磨き上げる~ファイナリストの実例から~

過去ファイナリストのプラン進化ストーリー

事例1:Aさんの挑戦

Aさんの応募時プラン(8月)
Aさんは、農業経験のない立場から「ビジネスオーナー型農業」というアイデアで応募しました。社会課題として「食糧自給率の低下」を掲げ、契約栽培と出資モデルによって農業参入者を増やそうと考えていました。しかし、課題やビジネスモデルがまだ抽象的で、具体的な収益計画も定まっていませんでした。

合宿での変化(10月)
合宿のメンタリングでは、まず課題の構造を深掘りしました。
「農外から参入しても、農業生産のノウハウ不足と農地取得の難しさで定着できない」――この現実にたどり着いたAさんは、課題をより具体的に再設定しました。

メンターとの会話の中で

さらに対話を重ねる中で、思いがけない突破口が見えてきます。


 メンター:「日本の農家さんって、ガンガン儲けている人もけっこういるよ」

 プレイヤー:「でも私のような農家出身でない人が参入して儲けるのはムズいです」

 メンター:「Aさんのような農外参入者がガンガン儲けるには?」

 プレイヤー:「そりゃもう、農業の生産ノウハウ獲得と農地獲得で規模拡大ですよ」

 メンター:「なら、農外参入者がガンガン儲けるのを阻むカベは?」

 プレイヤー:「生産ノウハウと農地・・・これが「農外参入者が定着しない」問題の原因だ!」

 メンター:「ほな、農外参入者がガンガン稼ぐためのモデルは?Aさんでも生産できる野菜とか?作り方とか?」

 プレイヤー:「ん?あ、ニンジンがまだ小さい状態のままで売れるならガンガン生産できますよ。」

 メンター:「ほな、小さなニンジンで稼ぐには?八百屋では売れないよね?」

 プレイヤー:「んん~?あ、近所の保育園が収穫体験したいって言ってました!」

 メンター:「それ、ええやん!保育園の芋ほりの価格相場を調べてみ。その価格で、どれくらいの面積あれば良いか想定できたら、その保育園とかけあってみよう」

 プレイヤー:「小さなニンジンでもしっかり色はついてますし、かじると甘くておいしいんですよね~(^_^)あ、食べる体験までを売ればいいですね」

 メンター:「うん。そうやってガンガン儲かったら、Aさんが農業してる地域はどんな感じになるかな?」

 プレイヤー:「農家の子供が家業の農業を継ぐでしょうし、私のような参入者も定着しますし、地域の消費者は「その日採れた野菜」を気軽に買えます」

以上がメンタリングでなされた会話です。
結果的に、応募時のプランは少しづつ、変換をしていきます。


プランの進化(Before / After)

項目応募時(Before)合宿後(After)
プラン名ビジネスオーナー型農業プラン名は検討
社会課題食糧自給率低下耕作放棄地の増加と農業生産者の減少
課題の構造農業が儲からない→農家が減る農業儲からないから後継者不足。農外から参入しても生産ノウハウと農地取得困難で定着できない
解決策としての事業モデル契約栽培+出資モデル栽培がラクな野菜の収穫体験で集客+直販
目指す社会像農業参入者が増える農業後継者・参入者が増え、耕作放棄が減少し、野菜の国内生産確保
売上目標不明瞭年間売り上げ1,000万円

このように、edge合宿ではメンターとの対話を通じて、漠然としたアイデアが現実的で実行可能なビジネスモデルに磨かれていきます。Aさんの事例は、課題設定の精度と解決策の具体化が、プランを大きく進化させることを示しています。

次回、あらためてその後のプランの変遷を紹介します。